独断と偏愛

とにかく現実から目を背けたい20代フリーター

彼は、わたしの破壊者であり創造者だった。藤崎彩織『ふたご』

 


藤崎彩織『ふたご』

 

 

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彼は、わたしの人生の破壊者であり、創造者だった。異彩の少年に導かれた孤独な少女。その苦悩の先に見つけた確かな光。SEKAI NO OWARI Saori、初小説!

〈BOOKデータベースより〉

 

 

 

 

 

 

 

頑なに文庫本派のわたしが、思わずハードカバーで買ってしまった。

 

万人受けしないマニアックな小説ばかり読んでいたけど、久しぶりに胸を張って人に勧められる作品に出会えた。

 

 

 

 

 

曲を作るというのは、孤独で恐ろしい作業だと思う。何もない所から言葉を、メロディを創作していくことは、乾いて、飢えて、身体の中から水を最後の一滴まで搾り取られるような作業であるにもかかわらず、その最中にオアシスのような幻想を見せられる。気づいたら、あそこまでいけば自分は救われると信じて、歩いていくしかなくなってしまっている。

 

 

 

音楽をやっている人は、言葉も自由に奏でられるの?

音楽のようになめらかに言葉がすっと脳に溶け込んで、心地いい。

 

 

 

 

 

主人公・夏子の苦しみや葛藤が生々しく、言葉や思いが容赦なく胸に突き刺さり、時々目を背けたくなる。

 

 

 

 

 


さらに、読後の余韻がなんともいえない。

 


幸せなはずなのに、切なく、なぜか胸が締めつけられる。
絶対に交わることのない2人。

 

 

 

 


なんといっても、文章が上手。芸能人としてではなく、1人の作家として。


ひとりの女の子の繊細で複雑な心情を、こうも丁寧に言葉にできるのか。

 



 

 

 

【まとめ】

 

読みやすさ ★★★

言葉選び ★★★

ストーリー ★★☆

変態度 ☆☆☆

 

総合 ★★★

 

 

 

ふたご

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