喪失と再生と、死とセックスと。村上春樹『ノルウェイの森』
暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルク空港に着陸すると、天井のスピーカーから小さな音でビートルズの『ノルウェイの森』が流れ出した。僕は一九六九年、もうすぐ二十歳になろうとする秋のできごとを思い出し、激しく混乱し、動揺していた。限りない喪失と再生を描き新境地を拓いた長編小説。
〈BOOKデータベースより〉
この本を、本当に理解できる人はいるのか?
少なくとも、わたしには難しすぎる。
10代の私に母がすすめてきたのが、何を隠そう、この『ノルウェイの森』である。
なんだかよく分からないけど、分からないながらも打ちのめされたのを覚えてる。
この本は、読書の虜になったきっかけであり、わたしの原点ともいえる。
「私、二十歳になる準備なんて全然できてないのよ。変な気分。なんだかうしろから無理に押し出されちゃった気分ね。」
押しつけがましさを感じない冷ややかで美しい文体と、独特な比喩表現。
そして終始つきまとう、暗く哀しい雰囲気と、儚さ。
読後にとんでもない虚無感に襲われたのは、わたしだけではないはず。
死は生の対極にあるのではなく、我々の生のうちに潜んでいる
繰り返す、喪失と再生。
色んな場面で「忘れる」という言葉が使われていた。
忘れること、それが生きるわたしたちにとっていいことなのか悪いことなのか。
答えは分からない。
読後に自分がどう感じたか、その感想をうまく言葉にすることができないけど、なんかそれでいいような気もしてくる。
【まとめ】
読みやすさ ★★☆
言葉選び ★★★
ストーリー ★★☆
変態度 ★☆☆
総合 ★★★