母のそれは愛情か、異常か。秋吉理香子『聖母』
秋吉理香子『聖母』
幼稚園児が遺体で見つかった。猟奇的な手口に町は震撼する。そのとき、母は―。ラスト20ページ、世界は一変する。『暗黒女子』の著者が放つ驚愕の長編サスペンス・ミステリー
〈BOOKデータベースより〉
ラスト20ページで世界が一変する。
保奈美、刑事、真琴の三人称で物語が進んでいく。
途中から違和感を感じていたにも関わらず、ミスリードを重ねた上でまんまと騙された。
斜め上というよりは、斜め下の展開で想像していた残酷さとはまるで種類が違った。
これを母の愛だと呼ぶのなら、あまりにも狂っている。
単純に、ストーリーがすごい。
言葉選びや世界観重視で小説を読むことが多かったから、ここまで巧妙に作り込まれたストーリーのものを読むのは久しぶりだった。
印象的だったのは、とても細かく描かれた不妊治療の様子。
精神的、肉体的、経済的にきつく、不妊治療の途方にくれる苦労や痛さが、ひしひしと伝わってきて読んでいて辛くなった。
最後まで読んだ人は、ぜひ最初からまた読み返してほしい。
【まとめ】
読みやすさ ★★★★☆
言葉選び ★★☆☆☆
ストーリー ★★★★★
中毒度 ★★★☆☆